2006年6月25日掲載
Paul Gonsalves     Humming Bird
SML原盤              1969年録音

 マレイの熱演で初めて知ったポール・ゴンザルベス。エリントン楽団の花形テナー・サックス奏者としてゴンザルベスの、歴史的名演を聴いた時には、本当に感動いたしました。

 そんなゴンザルベスの1963年吹き込みのリーダー作を聴いた時には、ピンと来るものがありませんでした。今回復刻されたのは、1969年の吹き込み作品であります。イギリスの精鋭達との演奏です。

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 Alan Branscombe というピアニストは、無名と言って良い存在でしょう。7曲中5曲で彼がピアノを弾いていますが、明るいタッチで、そして不思議なタッチを交えて弾くお方。ゴンザルベスがケニー・ホイーラー(p)と吹いている『all the things you are』と、ゴンザルベス1本で演奏されている『in a mellow tone』でのAlan Branscombe の演奏が印象的です。

 そしてゴンザルベスは、フワフワ漂う演奏。そんなフワフワ感が存分に発揮されているのが、タイトル曲であります。そしてこのタイトル曲でピアノを弾いているのが、スタン・トレイシーです。彼の刺激的なピアノと、ゴンザルベスのフワフワが、面白い対比を作っています。そんな意味ではトレイシー作の『X.O.X.』でも同様で、面白い内容でした。

 エリントン楽団のスターと、イギリスの精鋭達という組合せの妙が、存分に発揮された内容と言えます。