2016年3月6日掲載
Mal Waldron    MAL-2
Prestige原盤    1957年4月録音

 何度も書いてきたことですが、コルトレーン,モンク,マイルス,ドルフィー,そしてマレイは何らかの特集の形で「今日の1枚」で取上げていきたいと、当サイト開設時点から考えていまいした。マレイに関しては集中して取上げ、ディスコグラフィとしてまとめました。しかし他の方は手づかず。 その中でもコルトレーンはセッション毎に注目し、その中で「今日の1枚」とつなげていく考えでした。しかしながら構想が大き過ぎて、未だに着手できず。 そんなことの中で「今日の1枚」未掲載となっていた作品群の中の1枚が、今日取り上げるマル2です。昨年9月から始めた企画「今日の1枚からつまみ食い」に関連してのことです。

 この作品は2つのセッションから構成されています。 1957年4月19日のセッションには両名(マルとコルトレーン)の他に、ビル・ハードマン(tp),マクリーン(as),ジュリアン・ユーエル(b),そしてテイラー(d)が参加しています。
 その一ヶ月後の5月17日のセッションには両名に加えて、シュリーマン(tp),シハブ(as),ユーエル(b),そしてシグペン(d)が参加しています。


 この時期のマルはプレスティッジを中心に数多くのセッションに参加しております。プレスティッジのオール・スター・セッションだったり、アモンズやクイニシェットのセッションと言った具合です。4月19日のセッションでは5曲収録され、本作オリジナルには3曲収録されています。 またこの時期にコルトレーンもマル同様にプレスティッジのいくつものセッションに参加しています。5月31日には自身の「コルトレーン」のセッションも行っています。また時期を置いてから、プレスティッジへの別のセッションから寄せ集めて、コルトレーンのリーダー作として幾つかの作品が発売されていました。またこの時期にはリバーサイドのモンクのセッション、ブルーノートのグリフィンへのセッションにも参加しております。

 そんな多忙な時期を送っていた両名が参加している作品を、今日は取上げてみます。

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 4月のセッションはマクリーンの味わいが活きており、ハード・バップ全盛期を駆け抜けた両名の演奏が光る、王道ハード・バップ・セッションと言えます。5月のセッションは、シハブとシュリーマンを活かしての攻撃的なセッションであります。この二つの異なるセッションを組み合わせ、曲順を練り、この時期の素敵な1枚にこのマル2は仕上がっています。

  特筆すべき曲は、4月セッションの「Don't Explain」でしょう。ビリー・ホリデイの伴奏者としても活動し始めていたマルのこの曲に対する熱い想いが、マルの編曲の絶妙さによって、この曲の代表的演奏にしております。各自のソロも勿論光っています。特に印象深いのは、最初のマクリーンの汽笛のような演奏の後に暖かいホーン・アンサンブルが入っているところでしょう。