2009年3月10日掲載
Bud Powell        The Time Waits
Blue Note原盤    1958年5月録音

 サム・ジョーンズ(b)とフィリー・ジョー・ジョーンズ(d)と吹き込んだ、パウエルのピアノ・作品です。パリにわたる1年前の演奏です。

 この作品に関して、ジャズ聴き始めの頃に渋谷ジャロさんの店主と話をした記憶がありますが、その内容は忘れてしまっております。ただジャロの中に流れていたこの演奏の鼓動は、しっかりと記憶しております。

20090310

 岩波氏の解説によれば、この作品はバードランドの営業外時間に録音された可能性があるとか。
 さらに引用ですが、パウエルとプレヴィン面白いのエピソードがあります。プレヴィンがNYに出て、バードランドへジョー・ニューマンのライブを観にいった時のこと。隣の客が眠りだし、ついにはプレヴィンの膝の上で寝てしまったとのこと。そんな時に知り合いのミュージュシャンがプレヴィンに、「折角NYに来たのだから、パウエルに会いたくないかね」と言いました。プレヴィンは喜び「勿論です」と答えたのです。この後の展開は、皆さん想像がつくでしょう。

 さて演奏。恐らくはパウエルと両ジョーンズの共演は、初めてでしょう。しかし重量感ある演奏という共通点で3人は結ばれ、名ピアノ・トリオ作品を作り上げています。『サブ・シティ』から『タイム・ウェイツ』と続く動と静の展開に、25年前の渋谷ジャロさんでの空気感が蘇ってきます。店主との会話内容は蘇りませんがね。