2009年1月18日掲載
Walter Davis Jr            Scorpio Rising
Steeple Chase原盤       1989年6月録音

 このウォルター・デイビスの作品は、1989年暮れに新譜コーナーに並び始めました。従って1989年のピアノ・トリオ好作品ラッシュのピークは終わっていたのですが、この Steeple Chaseから発売された作品も、ジャズ・ファンの間で話題になったものでした。

 内容の良さとは相反して、ジャケに映るデイビスの表情は、最悪のもの。何か放送禁止のようなお顔。渋谷ジャロに集まっているお客さんの評判を聞かなければ、ジャケ判断で買うことはなかったでしょう。

 Santi Debriano(b)とRalph Peterson(d)との録音です。この作品の印象は、ガンガン弾きまくるデイビスのピアノ。今日は、叩きまくるピーターソンと、弾きまくるデイビスの魂がぶつかり合った瞬間を、楽しみに聴いてみます。

20090118

 オリバー・ケントというピアニストがいるそうだ。その人の作品に『400 Years Ago Tomorrow』というのがあるが、このデイビスの作品にもの同名曲が収められています。しかもデイビスのオリジナル。400年前を語っているというより、これからの変動の時代を予言しているかのような、テンポよく展開する曲。そして火が噴くような演奏。当時56歳とは思えない熱気。

 ジャケの彼の顔について酷い書き方をしましたが、この翌年に亡くなっていたのですね。録音当時は、相当体調が悪かったのでは。その中で精神を集中させての演奏だったのでしょう。彼の代表作に入れるべき内容です。