2009年1月10日掲載
Jesper Thilo          Tributes Music
Mecca原盤             2005年6月録音

 デンマークのベテラン、テナー・サックス奏者のシロさんの作品は、2003年録音盤をかつて取り上げました。今日取り上げるのは、Jan Lundgren(p),Jesper Lundgaard(b)と吹き込んだ、変則トリオでの作品です。スタンダードを10曲揃えており、それぞれ先輩サックス奏者へ捧げた趣向です。
 Zoot Sims,Brew Moore,Johnny Hodges,Stan Getz,Gene Ammons,Don Byas,Ben Webster,Sonny Stitt,Paul Gpnsalves,Lucky Thompson が、その10人であります。

 僕にとってはブリュー・ムーアが縁の無かったサックス奏者です。ムーアの活動歴を見ると、1961年から1967年まで欧州で活躍し、1970年に再度渡欧し、1973年にシロさんの本拠地であるコペンハーゲンで亡くなっています。これを考えると、コペンハーゲンで、シロさんはムーアと縁があったようですね。因みにムーアに捧げた演奏はマイルス作の『Four』であります。

20090110

 2003年録音盤ではゴードン風と称したシロさんの演奏スタイルですが、この盤ではホーキンス風のスタイルと感じました。そんな音色が、ピアノとベースの好サポートに乗って、スタンダードを小粋に歌い上げていきます。変わった編成のスタンダード作品集としてみれば、なかなか存在感のある出来栄えです。この作品は、発売当初に、結構人気が出ていたと記憶しています。やはり歌心があるというのが、人々の気持ちを捕まえるのでしょう。

 さて10人に捧げているのですが、個々のサックス奏者へのシロさんの心情までは聴き取れなかったのですが、ブリュー・ムーアへ捧げた『Four』では、恩人への深い思いが感じられる演奏です。でもこれも、背景を知った上での、感想なのでしょう。