2016年10月2日掲載
Charlie Rouse              Epistrophy
Landmark原盤              1988年10月録音

 モンクのバンドに参加していたラウズの演奏を、私は愛しております。日本での評判は良くないが、私にとっては愛すべきテナー・サックス演奏を、ラウズはモンクのバンドで披露してくれました。

 モンクが1982年2月17日に逝去した後、ラウズはモンクへのトリビュート・バンドでの活動もしておりました。 この作品のジャケには、「Recorded in San Francisco at the Thelonious Monk Birthday Tribute of the 1988 Jazz in the City Festival」とあります。このコンサートは10月10日、ラウズが肺ガンで逝去したのはそれから1ヵ月半後の11月30日でした。
 ジャケには「The Last Concert」とのクレジットもあります。

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 私の愛すべきジャズ・マン、10年を超えてジャズ界の巨星と歩んできたジャズ・マン。

  肺活量が重要なサックス吹きが、肺ガンで亡くなる1か月前というのは、どんなに辛い状況下での演奏だったのか、想像にすらできません。そんな中においても、オリン・キープニュースが用意したBimbo's 365 Clubでのこのステージ上では、ラウズは至極の時を味わったのでしょう。

 16分に渡る「'Round Midnight」では、ジョージ・ケイブルスのピアノ,ボビー・ハッチャーソンのヴァイブ,そしてドン・チェリーのトランペットでの演奏の後、12分超えた所でラウズの出番となります。これほどの表現力豊かなテナー演奏、病による辛い部分を乗り越えての、感動的なものです。 続く11分の「Epistrophy」と合わせて、ジャズ界の名場面と言えるものです。

 この作品は発売当時ですら話題にはならず、ましてやそれ以降となると忘れ去られたかのような作品です。しかし私の中でこれは、常に輝き続ける作品、愛すべきジャズ・マンの、敬愛すべき瞬間を捉えた作品であります。