2009年5月4日掲載
Clifford Jordan        In The World
Strata East原盤        1969年録音

 26歳のクリフォード・ジョーダンがブルー・ノートに吹き込んだ作品を、かつてここで取り上げました。それ以降の彼は、1959年から1960年にかけてJJジョンソンのバンド、1961年から1962年がケニー・ドーハム、1962年から1964年にかけては2度目のローチ楽団、そしてその後に短期間ですがミンガスのバンドに加わり、欧州ツアー等で活躍しておりました。その後は欧州での活動が多くなるのですが、そんな中で1969年からはストラタ・イーストと言うレーベルのプロデューサーとしても活躍していました。

 今日取り上げるのはそのレーベルへの、自身のプロデュースによるリーダー作品であります。 Julian Priester(tp),Wynton Kelly(p),Richard Davis(b)が参加しており、曲により Don Cherry(tp)が加わっておりますし、ベースとドラムの入れ替わりもあります。3年近く前にCD化されるまでは、ジャズ喫茶か高値でLPを購入した人しか聴けなかった作品です。

20090504

 祖国への思い、望郷の念が、壮大なスケールで、そして各ミュージュシャンの強い思いで演奏されています。全4曲が熱演ですが、その中でも17分に及ぶ『Vienna』が圧巻の出来です。

 さてストラタ・イーストと言うレーベルは、本当に貧乏レーベルであったようです。ジョーダンは私財を投じてレコーディングに臨んだとの話もあります。しかしそのような状況だからこそ、何の制約も受けず、自分がやりたいものを演奏出来たのでしょう。またこの壮大な演奏には、ミンガスのバンドでの経験、そして欧州各地での地道な活動から得られたものが、大きな要素となっている気がします。

 1970年代のジャズ喫茶の名盤とのことですが、このCD化によって誰でも楽しめる名盤になったわけです。こんな意味で光を与えるべき作品、私にとっては未知な作品も、数多くあるはず。そんな作品のCD化を、これからも楽しみにしていきます。