2020年4月6日掲載
Ahmad Abdul-Malik’s           Jazz Sahara
Riverside原盤                        1958年10月録音

 多くの人に、インターネットをより身近なものにしたSNSですが、私も数年前からお世話になっています。そこで教えられる未知盤が如何に多いことかに驚きますし、私にはまだまだジャズが門戸を広げているとの喜びになります。本作も、SNSでお世話になっている方から紹介いただいた作品です。

 モンクやコルトレーンの作品への参加で知っているベース奏者アーメド・アブダル-マリクですが、「今日の1枚」でリーダー作を取り上げるのは初めてですので、「新・世界ジャズ人名辞典」から紹介します。

 1927年にブルックリンで生まれ、スーダン人の血統を持つ彼は中近東、カリブ、アフリカ、ハワイなどエキゾチックな楽想をジャズに導入、パブリック・スクールや大学での公演も多い。チューバ、バイオリン、セロ、ピアノなども演奏する。プロ入りしてから、ブレイキー(1945-48年)、サム・テイラー(1954年)、ランディ・ウェストン(1957年)、モンク(1957-58年)等と共演。1965年にはNY大学、ブルックリンで民族音楽についての講義もしている。

 アブダル-マリクはこの作品でベースの他に、Oud を弾いています。ジャケに写っているのがこのウードです。他にも中近東楽器を演奏する方が参加しています。そしてジャズファンにとっては、グリフィンの参加が興味あるところです。

20200406

 百済から日本への仏教公伝は、538年或いは552年と言われております。これは単にその教えだけが伝わるのではく、仏教に関する様々なこと、寺の建築や仏教美術、そして仏教音楽も伝わってきます。その音楽に目を向けても、楽器の製造方法を含めたものが伝わってくるのです。

 ただしインドからの仏教の東方伝播ですので、中近東の宗教、主はイスラム教は関係ないものなのでしょう。でも何故だかこのアブダル-マリクの作品を聴いて、日本の古代からの音楽に何かの共通点を感じました。ただし私が長年過ごした香港でのことも影響しているのかもしれません。ただし、これまた長年お世話になったイスラム教のマレーシアとは、違ったものを感じました。

 この作品は中近東の音楽の雰囲気に触れる作品であり、そこでのリズムと節回しに、私は何かを感じた、そういうことです。

 さてグリフィン、この中近東の中に入って、自分をしっかり表現できるところは流石です。