2006年6月13日掲載
Yusef Lateef      Cry! - Tender
New Jazz原盤     1959年10月録音

 テナー・サックスとフルートを中心に演奏するユセフ・ラティーフは、1921年にテネシー州に生まれました。デトロイトの学校を卒業後の1946年に、NYに進出し、いくつかのバンドで活動し、1949年にガレスピーの楽団に入りました。そして1950年にはウェイン大学に入学し、卒業後の1955年から1959年にかけて自分のグループで活動しておりました。

 今日取上げる作品は、丁度自分のグループで活動していた時期のものであります。またこの時期の『Other sounds』を、かつてここで取上げました。

20060613

 ユセフ・ラティーフのファンという人には、出会ったことがありません。多くの人は、1960年代に彼が在籍したミンガスやアダレイのバンドでの演奏で、彼に触れただけではないでしょうか。僕の場合は、一時プレスティッジ(ニュー・ジャズを含む)を集めていたことによって、彼の作品に触れてきたわけであります。

 積極的理由でユセフ・ラティーフに接してきたわけではありませんが、時折り聴く彼のサウンドは、独特の空間を提示してくれるものです。『dopolous』や『cry!-Tender』での、精神を見つめ直すような空間は、他では聴けないものです。静かな時の経過の中で、祈りを捧げるような空間です。ここに彼の存在価値があるのでしょうか。