2007年9月3日掲載
Barney Wilen      More From Barney
RCA原盤        1959年4月録音

 地下に店がある渋谷ジャロさんに入るには、狭くて急な階段を降りていく必要があります。その階段の先には、昔はLPの新譜が飾られていました。しかし、新譜LPが姿を消して以降は、そこには高価なオリジナル盤が並んでいます。そしてその下に、新譜のCDが飾られています。

 確か1997年の秋頃に狭く急な階段を降り、新譜CDを目にした僕は、ふざけるなよと、思わず一言。愛聴盤でCDでも購入していた「Barney」が、2枚組みCDで発売されていたのです。1枚は、オリジナルでのCD。もう1枚は、丸々未発表。未発表を欲しければ、既に持っているオリジナル方も買わなければならない図式。それが先の一言になったのです。そうしたら渋谷ジャロ店主から一言あり。「安心しろ。未発表1枚だけの発売もあるよ」とのもの。それを今日は取上げます。

20070903

 『there'll never be another you』は、アップ・テンポで演奏される機会が多い曲。この作品でもアップ・テンポで演奏されており、バルネとドーハムのフロント・ラインも好調だし、デューク・ジョーダンのピアノとフランス人のベース&ドラムも快調。他にも『the best things in life are you』や『round about midnight』など、素敵な演奏が続くもの。

 引っ張りだこトランペッターであったドーハムを相手にして、バルネはどのような意気込みだったのでしょうか。気負いが無かったら嘘でしょうし、この時期のバルネの他の作品よりも、熱い演奏です。このままの形でジャズを突き進んで欲しかったと思いますが、1960年頃よりフリーへ動いていくバルネ。それはこの時期の欧州ジャズ界の自然な流れ。しかしバルネは1970年代に入ると、ジャズ界から暫く遠のくことになります。再びジャズ界に戻ってくるのは、1980年代半ばにIDAに吹き込みを開始してから。

 そんな風に考えていくと、この作品が吹き込まれた辺りから、20年以上に渡って、所謂モダン・ジャズから遠のいていたことになります。この未発表集が世に出た時期は、IDA吹込みから日本レーベルにも吹き込みを行っており、その実力が高く評価されていた時期になります。何でこの未発表作品が40年近くもお蔵入りだったのかとの思いもあります。しかし見方を変えれば、この未発表が最も評価される状況の時期に発売されたとも、言えます。そんな思いで、この快調な8つの未発表演奏を、聴き終えました。