2007年8月19日掲載
Dave Bailey      One Foot In The Gutter
Epic原盤              1960年7月録音

 ドラム奏者のデイブ・ベイリーは、1926年生まれ。飛行技術を教える教官をしていたこともあるお方。フィラデルフィア大学工学部を卒業し、1947年からNYで2年間ほど音楽の教育を受けておりました。1950年代に入ってからプロ活動を開始し、有名なところではジェリー・マリガンのバンドでの活躍があります。ミュージュシャンとしての活動ばかりではなく、ジャズ・ラインというレーベルの経営に加わったり、プロデュースしたりと、幅広く活動しておりました。ミュージュシャンからの信望篤い方だったとのこと。

 そんな彼は、リーダー作を5枚残しており、全て1960年から1961年に吹き込まれたものです。今日取上げるのは初リーダー作であり、ベイリーが大好きなミュージュシャンを集めた作品とのこと。ジュニア・クック(ts),クラーク・テリー(tp),カーティス・フラー(tb),ホレス・パーラン(p),ペック・モリソン(b)との録音です。スタジオ・ライブです。

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 狙ってソウルやファンキーな演奏もこの時代には多々ありましたが、このベイリーのセッションでは、自然に湧き上がってくるソウルでファンキーな演奏。またメンバー全員が、実力を存分に発揮した演奏です。このことは、メンバー全員のベイリーへの信頼度の高さなのでしょう。

 モンクの『ウェル、ユー・ニードント』も良かったし、ブラウニーのブルース『サンドゥ』も素敵なもの。でも白眉はテリー作のタイトル曲でしょう。飾らず自然にメンバーが好きなジャズを繰り広げたからこそ、ここには素敵なファンキーさがあります。テリー,クック,フラー,そしてパーランと続くソロは、ジャズの醍醐味を教えてくれるものです。


 こんなセッションを仕切ったベイリーは、1970年代になると演奏活動をストップ。しかしジャズ界との関係を絶ったのではなく、ジャズ・イベントの仕掛け人として活動しているとのこと。演奏していないことは残念ですが、仕掛け人としての活動は、この作品を仕掛けた能力から、当然の成り行きだったのかも。とにかく、素敵な作品です。