2007年8月16日掲載
Wayne Shorter     The Soothsayer
Blue Note原盤          1965年3月録音

 ウエイン・ショーターがBN4000番台に残した作品は、次の通りです。JMから独立直前に吹き込んだBN第1作目の「Night Dreamer」が1964年4月の録音。2作目が1964年8月録音の「Juju」。その4ヵ月後に3作目の「Speak no evil」。間隔があき、1966年2月には「Adam's Apple」。5作目は、1967年3月録音の「Schizophrenic」。6作目は1969年8月録音の「SpeakNova」。そして最後になる7作目は1970年8月録音で、「Odyssey Of Iska」となっております。

 この中に、今日取上げる「The Soothsayer」は含まれておりません。これはお蔵入りになっていたのが、時を経て再発されたものなのです。録音時期は、「Speak no evil」と「Adam's Apple」の間だけに、期待が持てるもの。

 Freddie Hubbard(tp),James Spulding(as),McCoy Tyner(p),Reggie Workman(b),Tony Williams(d)という3管編成のもの。因みにBNのショーター作品で3管編成なのは、本作と「Schizophrenic」だけであります。

20070816

 やはり聴き所は、1曲目の『lost』でしょう。ラーナー・ノートでマイケル・カスクーナ氏が、"lost" is a graceful、と述べております。この場合の grace は、優雅とか親切ではなく、神の恵みや恩寵と言った意味合いなのでしょう。希望を失った者が、微かな光を見つけ出すような演奏。ショーター,ハバード,スポウルディング,そしてマッコイと続くソロが、そんな心の揺れ動きを表現しております。