2004年2月28日掲載
Earl Coleman       Returns
Prestige原盤         1956年3月録音

 ジャズ・ファンの間でアール・コールマンと言えば、ロリンズが伴奏した数少ない男性歌手という印象ですかね。その作品「tour de force」では、コールマンの歌が作品にとって唐突な印象を受けてしまい、このコーナーで「笑い所」なんて失礼な表現をしてしまいました。

 実はこのコールマン、本格的黒人ジャズ・シンガーとして、非常に高い評価を受けている方なのだそうです。1940年代の多くのコールマンの活動は玄人筋からは高い評価を受けたものの、世間ではぱっとした評価を得られなかったとのこと。

 しばらくの空白期間を受けてプレスティッジに吹き込んだのが今日取り上げる作品なのですが、タイトル名はそんな事情から付けられたものです。

 ハンク・ジョーンズを始めとする素晴らしいミュージュシャンがバックを務めているこの作品は、コールマンにとって何と初リーダー作品とのことです。

20040228

 ジャズ・ヴォーカルには女性の魅力を求めてしまうもので、男性のは敬遠しがちになるのは、多くの人に共通しているのではなかろうか。バリトンの優しさ溢れる声で穏やかに歌うコールマンのこの作品は、こうやって30分聴く分には最高のもの。バックも歌心満載の演奏で盛り上げているしね。

 恐らくは名盤なのでしょうが、この作品を愛聴盤に出来るかの問いには、男性ヴォーカルに魅力を求められない僕としては、否と答えてしまうことになります。