2008年8月1日掲載
Keith Jarrett            Tribute
ECM原盤                   1989年10月録音

 キースがディジョネットとピーコックと組むトリオは、何故にスタンダーズと呼んだり呼ばなかったりするのでしょうか。この作品はスタンダーズとなっておりませんが、スタンダード中心の構成となっています。

 この作品を買った動機は、『all the things you are』の奇跡的な素晴らしさを人伝に聞いたからです。ケルンでのこのコンサートは、10人のジャズ・ミュージュシャンへのトリビュートとなっています。コニッツ,ジム・ホール,ナンシー・ウィルソン,ビル・エヴァンス,パーカー,ホーキンス,マイルス,アニタ,ロリンズ,そしてコルトレーンの10人であります。奇跡の『all the things you are』は、ロリンズへ捧げたものです。

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 『all the things you are』は8分ほどの演奏時間ですが、前半の3分はキースの高速ソロです。この部分への評価は別にして、高速ソロ終了後に通常ペースでのトリオ演奏に移る瞬間の感動は、かなりのものです。

 さて最も印象深い演奏は、ホーキンスに捧げたという『煙が目にしみる』です。男の照れ笑いが浮かびあがってくるような表現力は、流石のもの。コルトレーンに捧げた『It's easy to remember』でのバラッド演奏も素敵でした。しかしコニッツに捧げた『lover man』では、もっとはっきりと物を言えよという気になり、じれったさを覚えてしまいます。ここが僕にとってのキースの弱さでしょう。

 CD2枚を続けて聴いたのは、購入の時以来となります。2時間近くの演奏、聴き応えがありました。