2006年8月8日掲載
Stanley Turrentine     Look Out
Blue Note原盤           1960年6月録音

 スタンリー・タレンタインのBNデビュー作であります。1988年国内盤CDで購入したのですが、解説は小川隆夫氏。氏の解説によれば、タレンタインのデビュー作は、恐らくタイムからの「ザ・マン」だとか。このコーナーで取上げた際には、国内盤解説を信じて「ザ・マン」を1963年録音としました。小川氏は、「恐らく」としながら、今日取上げる「ルック・アウト」より前に吹き込まれた作品としております。「ザ・マン」の録音日が何時であろうと、重要な意味はないとの考えも、あることでしょう。しかし、「デビュー作品にはそのミュージュシャンの音楽性全てが隠されている」との言葉からすれば、少なからず感心を持ってしまうことであります。

 さて参加メンバーを紹介しましょう。ホレス・パーラン(p),ジョージ・カッター(b),そしてアル・ヘアウッド(d)であります。

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 ジャケットをスキャンした後に、オリジナルのジャケットに何か付け加えられている時には、それを取り除く加工を行っております。国内盤の規格番号であったり、OJCならばOJCマークを取り除く工夫をしております。本盤では、国内盤規格番号を取り除いたのですが、もう一つ行うべきことがありました。「plus 3」という表示の除去であります。CD初期には、追加曲ありの印として、このような表記が多かったのです。

 さて、本題。初期のタレンタインの演奏を、下品ではないテキサス・テナーと評したならば、褒め言葉になるのかどうかに迷っております。良い意味で、一直線の豪放テナー・サックスです。またこれに絡むパーランのピアノの味付けも、惚れ惚れとするもの。パーラン独特のタッチが、豪放サックスに陰影を加えております。そんな演奏もお見事ならば、収録されている曲も聴き応えあるもの。特にタレンタイン作の曲が良いです。タイトル曲もいいですが、やはり泣きのバラッドの『little sheri』でしょう。このもの悲しい曲を、タレンタインとパーランが絶妙な演奏で聴かせております。ここでの演奏は、両者の豊富な活動暦の中でも、特筆できるものの一つでしょう。パーランは2ヶ月前に名盤「us three」を吹き込んだばかりで、絶頂期であることが確認出来ます。

 さて最初に「plus 3」の話をしましたが、その1つは『little sheri』のシングル・バージョン。残り2曲は、『tin tin deo』と『yesterdays』というスタンダードで、アルバム収録選考から漏れたもの。しかしデキはなかなかのもの。このことがこの作品のレベルの高さを物語っています。