2006年3月13日掲載
Mads Vinding      Daddio Don
Stunt原盤           1998年3月録音

 ベーシストのマッズ・ヴィンディングは、ピアノとドラムを加えてのリーダー作を何枚も発表しているお方です。しかも、その共演するピアニストは、作品ごとに変わっております。かつてここでは、ピエラヌンツイとの共演盤カースティン・ダールとの共演盤を取上げました。

 そして今日取上げるのは、ロジャー・ケラウェイを迎えての作品であります。去年の8月に購入したのですが、その動機はヴィンディングの作品であること。そして、ケラウェイのピアノに興味があったことであります。

 ドラムはいつものアレックス・リールです。

20060313

 ケラウェイさんの経歴を書こうと思ったのですが、実に豊富な経歴の持ち主で、書くのが億劫になるほどです。1939年生まれで、1960年代初めからNYでプロ活動を開始。その後は、様々なミュージュシャンのバンドに参加したり、いろんな楽団に所属したり、映画音楽に進出したり。長年に渡って、ピアニストとしてのみならず、作曲や編曲でも活躍してきたお方。そこそこ有名な方なのですが、僕はケラウェイさんの演奏を意識して聴いた記憶がなく、その辺りが本盤購入の動機なのです。ロリンズの「アルフィー」に参加していたのが、唯一の記憶でしょうかね。

 さてケラウェイさんのピアノですが、様々な船が行き交うビクトリア湾上に浮かぶ、綺麗な風船のようです。フワフワ浮かびながら、フェリーやタグボートや漁船の間を、進んでいる感じです。強い印象のピアノ演奏ではないですが、注意して聴けば、小気味良いフレーズを弾いているのです。

 そんなピアノと、ベースとドラムが見事に合致した、ケラウェイ作のタイトル曲が最も印象に残った作品です。