2006年2月21日掲載
The Jackie McLean Quintet
Adlib原盤     1955年10月録音

 この録音以降にプレスティッジに、そしてブルー・ノートに多数の吹込みを残すことになるマクリーンの、アドリブというレーベルに残された初リーダー作品であります。

 この作品に対して、ダウンビートのナット・ヘンフ氏は4星半の評価を得て、また次のようなコメントを残しました。「マクリーンの課題は二つある。彼はドライブし熱烈な感情で表現しているし、ビートも良い。しかし彼はバードの強い影響下にあって、自分自身のサウンドやスタイルを見出すまでに至っていない。第二の問題は凝集性である。彼の各コーラスには興味深い断章がふくまれているが、まだ成熟した有機的全体性を形成していない」。

 ドナルド・バード(tp),マル・ウォルドロン(p),ダグ・ワトキンス(b),ロナルド・タッカー(d)との、演奏です。

20060221

 ナット・ヘンフはこれからどのように成長するのか、或いは消えていくのか分からない若手ミュージュシャンに対しての、厳しいコメントなのです。

 一方こちらは、この録音からの大活躍を知っている中で、威勢の良いデビュー作品の感想。当然、作品への感想のスタンスは違ってきます。とにかくマクリーンを含めて、全員がこれからの方々。マクリーン23歳,バード22歳,マル29歳,ワトキンス21歳,タッカー24歳という年齢。マルは1940年代から演奏はしていますが、この時あたりからが旬になる人。そんな意味から、若さの勢いが気持ちよく聴ける内容になっています。

 熱気で飛ばす『it's you or no one』、マクリーンが当時2歳の愛娘の名前を付けたオリジナル曲『little melonae』での構成力、そしてバラッドで若さのもがきを伴いながら深い表現をみせる『lover man』という具合。

 この録音の後、タッカー以外は、大活躍を遂げることになります。その中で切れ味の良さを示していたタッカーは、数多居るミュージュシャンの中に埋もれて、その後の消息が分からなくなっております。