2006年2月17日掲載
Marion Brown      Porto Novo
Freedom原盤      1967年12月録音

 1935年にジョージア州アトランタに生まれたアルト・サックス奏者のマリオン・ブラウンは、25歳でNYに進出まで、地元で活動しておりました。NYではコルトレーンやオーネット・コールマンの影響を受けながら活動し、自身の吹き込みもESPに行っておりました。

 1967年から3年間は欧州で活動しており、今日取上げる作品は、その欧州時代にオランダで吹き込んだものです。ドラムは、オランダが生んだ欧州フリー・ジャズ・ドラマーの最高峰ハン・ベニンクです。一般的には、ドルフィーの「ラスト・デイト」のドラマーと言えば、誰でも分かるでしょう。そしてベースは、ICPの代表的ベーシストであるマールテン・アルテナであります。トリオでの演奏です。

20060217

 当時の先端を走っているフリー・ジャズであることは間違いないが、何か清清しさを感じる演奏である。格好付けのためのフリー・ジャズではなく、マリオン・ブラウンという人間が、ありのまま提示されている演奏なのである。そして、アイラーとの共通性を感じる。これは同じ内容というわけではなく、アイラーに感じる根本にある伝統的な部分が、マリオンにも感じるのだ。

 1988年に買ったCDには、青木和富氏が解説を書いる。青木氏は、マリオンのアトランタ時代の、田舎にふりそそぐ陽光のように明るいネイティブな輝きが、マリオンに流れていると書いている。まさに、その通りだと思う。

 この作品は、マリオンの代表作と言われているものだ。あまり売れる作品とは思わないが、常に発売し続けて欲しいものである。