2005年9月27日掲載
Aldo Romano      The Jazzpar Prize
Enja原盤               2004年4月録音

 この作品の購入理由は、ジャズパー賞受賞作品だからです。

 アルド・ロマーノは、ベテランのドラム奏者。1941年にイタリアに生まれましたが、1947年に一家でパリに移住。14歳頃から左官工事の仕事の傍ら演奏も始めました。すぐにその才能を開花させ、1960年からパリのクラブで演奏を開始し、パウエルやゲッツ等という、パリを訪れていた巨匠達と共演を重ねました。その後も多彩な活動を行って、現在に至ってます。

 ある一面では、フリー・ジャズとして有名であったり、またエヴァンスやペトルチアーニなどというピアニストとも共演を行っております。その意味で幅広く欧州ジャズを支えてきたドラム奏者といえる存在であり、この受賞は当然のものと言えるのでしょう。

 さて受賞記念コンサートの共演者にロマーノが選んだのは、次の方々。Stefano Di Battista(as,ss),Mark Turner(ts),Henrik Gunde(p),Jesper Bodilsen(b) という、注目を浴びている若手中心のもの。ロマーノが声をかければ、欧州ジャズ界の巨匠達が集まるのでしょう。しかし様々な欧州ジャズの変遷に携わってきた方だけに、旬な人達と旬な演奏をしたかったのでしょう。曲によっては歌手のSusi Hyldgaard が参加しており、またロマーノも自慢の歌を聴かせています。ロマーノの自作曲で固めた作品です。

20050927

 爽やかな風の朝の『Fernando』、深い表現ながらべとつかないバラッドの『song for elis』、欧州での異文化の祈りのような『link』というように、歌抜き曲では様々な場面が提示されています。派手さはないが、2管の表現力と、堅実なサポートのピアノとベースです。こう書いて気付いたのですが、ドラムが目立っていない。しかしドラムが全体を作り上げている印象。この辺りが、ベテランの腕前なのでしょう。

 歌い入りでは、スーシさんの哀しげヴォーカルが流れています。このスーシさんは、これまでに4作品を発表している方。機会があれば購入してみます。

 全体の印象としては大騒ぎする作品では全くありませんが、味わい深い作品であるのも事実です。