2005年6月2日掲載
Karin Krog        Gershwin with Karin Krog
Philips原盤         1973年12月録音

 ノルウェーを代表する歌手、カーリン・クローグさんの作品です。クローグとの日本語表記が一般的だと思いますが、僕が1990年に買った国内盤CDに解説を書いている高田敬三さんは、クロッグと表記しております。

 1937年にオスロの音楽一家に生まれた彼女は、1960年に生地やストックホルムで歌い始めました。当時輝いていた若手ミュージュシャンなどと共演を重ねて、1964年にフランスのアンティーブ・ジャズ祭に出演し、注目を集めました。その後、ドン・エリスの勧めでアメリカに渡り、活躍しました。日本には1970年の大阪万博に出演したのが、初来日になります。フリー・ジャズからスイング・スタイル、果てはインド音楽との共演なども行い、彼女の音楽スタイルは幅広いものとなっています。

 今日取り上げる作品は、ガーシュイン集であります。

20050602

 この録音より以前の若い時は、可愛い声だったのでしょう。1960年代のヨーロッパの動きの中で年月を重ねていき、様々なものを吸収し他のでしょう。余裕があり、また少し斜に構えた歌い方であり、なかなかのもの。と言っても、僕が持っている彼女の作品は、デクスターと共演した1970年録音のものが古いものなので、これは想像ですけどね。

 この作品のもう一つの売りは、バックのコンボの演奏の充実でしょう。歌抜きの曲まで用意したのは如何なものかと思いましたが、バックの演奏にも充分に焦点をあてています。悲しみを凝縮したような「my man's gone now」での、クローグとバックの演奏の一体感が、非常に魅力的でありました。