2005年6月23日掲載
Philip Clouts       Direction South
33Jazz原盤            2003年8月録音

 Philip Clouts はピアニストですが、彼についてネットからは殆ど情報を得られませんでした。南アフリカ出身であること、そしてこの33Jazzレーベルに吹き込まれた Zubop というグループの「Hiptodisiac 」という作品に Philip Clouts が参加しており、そこでの彼の存在が良かったとのことだけでした。Alex Keen(b) と Sean Randle(d) とのトリオ作品。ピアノとドラムは20歳代の風貌、ベースの方は風貌から年齢を想像するのは無理がありました。

20050623

 やけに軽快なピアノ。R&Bの乗りで、テンポ良く軽やかに、である。サラッとしたレイ・ブライアントと言ったところか。しかし、演奏に奥深さが無い。流暢なテクニックが無い。全12曲、3分台の曲が中心である。長くても6分。これ以上の長さを聴かせるには、テクニック上難しいと思ったのであろう。

 しかし、この乗りの良さと、鼻歌感覚の歌心は捨てたもんじゃない。それと、曲作りの上手さが光っている。1曲を除き全て自作曲。しかし、全てがテンポの良い明るい曲ばかり。マイナー曲が流れ始め、待ってましたと思ったら、唯一の他人曲。バラッドが書けたら、マイナー曲が書けたら、凄い人になるのではないか。

 けなしているのか褒めているのか分からなくなったが、そんな演奏である。演奏技術の向上はもう望めないだろう。しかし演奏に奥深さが出て、曲作りの幅が広がれば、期待できるピアニストである。この作品は、乗りの良いピアノ・トリオを半分BGMで聴きたい時には、お勧め出来るものだ。