2005年11月21日掲載
Morgana King        Sings The Blues
Mercury原盤         1956年録音

 嘆き悲しんでいる表情でしょうか、困り果てている表情でしょうか、単にお腹の調子が悪いのでしょうか。兎に角ジャケットに写るモーガナ・キングさんの表情は、歌手のジャケットとしては異質なものです。

 話題を変えますが、トニー・フラッセというトランペッターがおります。アトランティックにリーダー作を1枚残している方ですが、麻薬のために1969年に亡くなった方です。

 今日取上げるモーガナさんは、そのフラッセの結婚相手だった方です。1930年生まれのモーガナさんは幼少の頃からジャズに親しみ、ニューヨークのクラブで歌っていたところをマーキュリーからスカウトされ、今日取上げる初リーダー作となったのです。

 さてアルバム・タイトルからしたらブルース集と思われるでしょうが、スタンダード集であります。「シングス・ザ・ブルース」とは、「元気が無く、気がふさいでいる」という意味なのです。そう考えると、ジャケでの表情には、多少納得できますね。

20051121

 本当に物悲しい歌い方。無理に悲しんでいるとしか思えない、落ち込みぶり。聴く方は、ツー・マッチな悲しさを味わうことになります。しかしこれは好み次第。何と言ってもモーガナさんは、このデビュー作以降、コンスタントに作品を発表したお方なのです。ひょっとしたら、この無茶な悲しさはデビュー作だけかも知れません。しかし僕には、それを確かめる勇気が無いのです。これを買ったのは、1989年のこと。既に16年間、それを確かめられずにおります。