2004年3月5日掲載
New York Trio   The Things We Did Last Summer
Venus原盤        2002年4月録音

 HMV尖沙咀店のジャズ・コーナーには、このヴィーナスを含めた幾つかのレーベルの作品を、よく目にします。世界のジャズ愛好家からしてみたら、これらの日本レーベルとういのは、世界の主要マイナー・レーベルなのであろう。しかし、日本人からしたら、外国の店先では外盤(?)だけを置いて欲しいと思ってしまうから、変なものだ。

 また、このヴィーナス・レーベルは未だに出す作品が売れているそうであるが、その作成方針に嫌気を指してきたファンも僕だけではあるまい。特に僕は、ジャケットが嫌いなのだ。いかにも専門ルートから権利を買ってきたような写真であり、またそのことがこのレーベルのポリシーを物語っているようだからである。

 しかし、新譜をHMV尖沙咀店に求めて空振りに終わった僕には、こんなのも1枚ほど良いかとの気分になってしまったのだ。ビル・チャーラップが参加している、ピアノ・トリオである。彼のヴィーナスへの作品はかつて取り上げており、褒めた記憶がある。取り上げたものの、収録曲はタイトル曲を始めとする美曲ばかりで、一瞬後退りをしたが、結局はここで取り上げる結果になった次第です。

20040305

 歯切れの良い美しさ。この辺りが、この作品の印象であり、恐らくはこのレーベルへの印象となるのであろう。この製作方針で進めていくと、アルバム個々が人の記憶に残らず、レーベルの印象だけになってしまうと危惧するのは、僕だけであろうか。ビル・チャーラップには、もう少しやんちゃに飛び跳ねるように弾かせたら、それが彼の本望になるのではと、感じた次第です。