2004年2月5日掲載
Rocky Boyd        Ease It
Jazz Time原盤     1961年3月録音

 幻の名盤ブームで脚光を浴びた1枚にウォルター・ビショップJrのジャズ・タイム原盤「スピーク・ロウ」があります。

 幻の名盤は次々と日本で復刻されたのですが、幻が取れても名盤扱いを受けた盤の中に、1976年にトリオから復刻された「スピーク・ロウ」も含まれております。その1976年に、幻のレーベルであったジャズ・タイムの全3作が復刻されており、その中の1枚が本作品であります。

 テナー・サックス奏者のロッキー・ボイドそのものが幻の奏者とも言えるのですが、この作品の共演者は有名な方ばかりであります。ドーハム,ビショップJr,ロン・カーター,ピート・ラ・ロカであります。

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 復刻盤への小川氏の解説では、ボイドのテナーは硬質でストレートであり、センチメンタルなドーハムのペットと好対照な良いバランスを作っているとのこと。

 自炊の必要に迫られて玉子料理を連発している僕にとっては、ゆで卵のボイドに対してオムレツのドーハムという印象になる。

 下手な例えは置いておくとして、絶妙なリズム・セクションにのり、好対照な2管が好演している素敵な作品と、これは言える。コルトレーン・ライクなボイドのテナーですが、彼はグリフィンやマックス・ローチのグループに参加していたとか。もしそこでのレコーディングに恵まれてボイドの名が知られており、さらに少しは名の知れたレーベルにこの盤jが吹き込まれていたならば、この作品は高い評価を得ていたはずだ。

 逆に言えば、「スピーク・ロウ」の存在が無ければ、この作品は消えていたと言える。これはジャズ黄金期の奥の深さと言うか、奥の無さを物語っている。