2002年5月10日掲載
Joe Henderson      Lush Life
Verve原盤           1991年9月録音

 大ベテランのジョー・ヘンダーソンが亡くなったのは、確か昨年ですよね。享年65歳ってことになるのかな。人気のテナー・サックス奏者でありキャリアも長いため、いくつかの時代に彼の演奏を分けられます。

 以前ここで取上げた1985年のヴァンガードでのライブ盤は、新生ブルー・ノートの元で蘇ったジョー・ヘンを見事に収めている作品です。

 その後1990年代に入りヴァーヴに移り、企画モノを発表し評価されていったとか。

 今日取上げる作品は、その一発目でビリー・ストレイホーンの曲を取上げたものです。今回CDを収めてある衣装ケースのテナー分から適当に選んだ中にこの作品があったのですが、持っていることを忘れていた作品。ヴァーヴでの彼の活躍にしても、これを書くためにネットで調べて知った次第。印象に残っていないということは、ペケなのかな。

 Wynton Marsalis(tp),Stephen Scott(p),Christian McBride(b),Gregory Hutchinson(d) との共演盤で、曲毎にデュオ・トリオ・クァルテット・クインテット、そしてソロで演奏しております。

20020510

 当時としてはバリバリの若手との共演によるヘンダーソンは、メロディとアドリブを入魂吹きしているね。特に、力強いベースと一緒の演奏が素晴らしい。神秘的なメロディである「isfahan」は、ベースとのデュオ。冒頭のこの曲でのヘンダーソンは神がかりで、この盤を彼の名盤にさせるに十分の出来。

 ベースとドラムとのトリオで演奏されている「rain check」、この曲の他の演奏は記憶に無いのですが、何でも雨のLAでストレイホーンが思いついたメロディだとか。ここではカリプソの要素を取り入れた演奏で、実にリズミカルなテナー。この演奏でも、マクビーの強力なベースがリズムを力強く、しかも陽気にさせています。

 ベースとピアノのトリオで演奏された「drawing room blues」では、アルコのベースとサックスがしっとり絡み合っている。

 1990年代のヘンダーソンに捨て難い魅力を感じ、ヴァーヴでの他の作品を聴きたくなったと同時に、CD収納箱の中に名盤が隠れていることを実感した作品です。