2002年12月1日掲載
D.D.Jackson            Sigame
Justin Time原盤     2001年6月録音

 マレイ特集、リーダー作を終えWSQに移った2002年4月で、中断したまんまです。すぐに再開したい気持ちで2年間過ごしてきましたが、レビューと共にディスコグラフィも作成しますので、結構な時間が必要になるんですよ。少なくても香港・ペナン兼務の間は再開不可能かな。

 そのマレイ関連、特にジャスティン・タイム・レーベルにおいての重要ピアニストであるジャクソン、紹介したい作品が沢山あるのです。しかし、マレイ入りが多く、それらはマレイ特集の中で紹介していく予定だったので、かつて取上げたのは1枚だけですね。

 そのジャクソンさん、2年間ほどメジャーで作品を発表してきていたのですが、居心地が悪かったのか、またまたジャスティン・タイムに戻ってきて、トリオ作品を吹き込みました。いろんな環境下での作品発表を経て、どんな演奏にジャクソンさんが変わっているのか、はたまた変わっていないのか、楽しみな1枚です。

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 スペインがテーマなのか、タイトル曲は完全なスパニッシュ。数曲にギターが入っているのだが、この曲にも入っており、程好い味付け。他の曲にもスペインの風を感じ、一番光っていた力強いスロー・バラッド「for desdemona」でもその風を感じますね。繊細さと力強さ、静寂と激しさ、悲しみと歓び、これらを表現できる素晴らしいピアニストですな、ジャクソンさんは。

 続く曲は「jam band」。アップ・テンポの曲も多数用意されている本作品の中では特筆すべきものではないのですが、永久のメロディを聴いた後のこの曲にも、心踊ってしまいますね。

 個人的な愛聴盤であるのは間違いないのですが、予感ではこれからのジャズ界、特にピアノ・トリオ作品が進むべき道の一つを提示している作品と言えるのではないかな。