2002年10月6日掲載
Ray Bryant      Gotta Travel On
Cadet原盤      1966年2月録音

 1950年代から活動しながらもダウン・ビート等で評価されなかったため、目立つ存在でなかったレイ・ブライアントなのですが、日本ではその時代の作品も「幻の名盤」として、ファンの間では評価を受けていたのです。

 そんな彼の名前が世界的なピアニストとして名が知られるようになったのは、ピーターソンの代役としてモントルーのジャズ・フェスティバルに出演した1972年のライブ盤の大ヒットによるものでしたね。

 埋もれていた時代の作品である今日取上げる盤は、トリオ演奏を基本に、曲によりクラーク・テリーとスヌーキー・ヤングの2本ペット入り作品。モントルーのライブ盤でトップで演奏された「ガッタ・トラベル・オン」が収録されております。

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 お目当てのピーターソンが欠場となり代役としてでてきたのが、さほど名の知られていないピアニスト一人。 ある意味で誰も期待していないというか感動を諦めていた観客達の度肝を抜いたのが、ソロで演奏された  「ガッタ・トラベル・オン」。

 1972年のスイス・モントルーでのこの出来事は、ジャズ界における名場面の一つだと思っております。

 その6年前に演奏されたのが、この作品でき聴けるトリオ演奏の「ガッタ・トラベル・オン」。ベースとドラムが入ることで、明るい躍動感が増していますね。

 特筆すべき出来の曲としては、「イット・ウォズ・ア・ヴェリー・グッド・イヤー」。これは前年にシナトラが歌って大ヒットしたものですが、哀愁を感動的までに表現しているブルース・ピアノです。2管の入れ方も効果的であり、タイトル曲に並んで必聴の曲と言えますね。