2001年8月16日掲載
Karl-Martin Almqvist
Prophone原盤     2000年8月録音

 曇天の中でサックスを抱えながら物思いにふけっているカールマーティンの姿に深遠なサックスの響きを期待したのも購入の動機ですが、決め手はピアノのヤン・ラングレンの参加です。Filip Augustson(b), Sebastin Voegler(d) が加わってのクァルテット、スェーデンのレーベルからの発売でして、恐らくはメンバー全員スェーデンの方でしょう。

20010816

 コルトレー風のテナーの音色。神秘的な高音の世界を味わえるが、少しのっぺりした感じが最初はしますね。でも聴き進むにしたがってカールマーティンの個性、さり気なく広大に鳴り響き感じが楽しめます。次にコルトレーン風の曲作り。ほぼ全てがカールマーティンのオリジナル曲なのですが、特に「Bright Side of Darkman」の出だしは「ネイマ」そっくりで笑ってしまいました。が、この曲作りにも彼の優しさが感じ取れます。

 そして、ラングレン。コルトレーン尽くしの中ではマッコイを意識して聴いてしまうのですが、若手では世界一だと僕が思っている豊かな創造力を従えているメロディアウスな個性が、サイドにまわったこの盤でも活きています。カールマーティンの個性がはっきりと芽生えて素敵な作品が次に生まれるのではとの期待と共に、ラングレンの次作を早く聴きたくなる思いに駆られる1枚です。

 最後に気になる点が、ひとつ。最後の曲「fly,fly」がクレジットされている通り5分27秒で終ったのですが、我がCDプレーヤーの演奏時間表示は終らず、どんどん進んで行く。6分50秒ほどで突然ピアノが入り、

「in a sentimental mood」を演奏し始めました。サックスが加わり、表示が10分37秒で終ったのですが、この演奏についてのクレジットは、どこにも書いておらず。何か意図したことがあってのことなのでしょうが、その必要性は全く感じませんでしたね。