2001年4月29日掲載
Hampton Hawes      The Trio Vol.1
Contemporary原盤     1955年6月録音

 古くからジャズに関わっていた人の話に、「馬さん」ことハンプトン・ホーズの話がよく出てきますね。僕が一時通っていた横浜のジャズ喫茶「ちぐさ」の名物マスターも、そんな一人です。1953年から1954年にかけて日本に駐留していたホーズは、横浜や東京のクラブでよくピアノを演奏をしていたとか。彼の演奏は、産声を上げたばかりの日本のジャズ・ミュージュシャンに多大な影響を与え、その中の一人が秋吉敏子だというのは、有名な話ですね。

 そんなホーズの日本駐留も麻薬常習による強制送還で幕を閉じたのですが、刑を終えてLAに戻ったホーズが吹き込んだ初リーダー作が、この作品です。レッド・ミッチェル(b)とチャック・トンプソン(d)とのピアノ・トリオ、ホーズの代表作です。

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 全10曲中9曲、俺の嫌いな「so in love」を除けばどれも、その1曲だけでアルバムの存在価値があると言えるほどの、熱演ですね。「デビュー作が代表作」っていうのが多くのピニストに当てはまるそうですが、それまで貯めに貯めていたアイデアなり気持ちなりを一気に噴出した結果なのでしょう。

 もう一つ評価されるべきことは、ホーズの曲作り。並んでいる有名曲の中に、ホーズのオリジナル「feelin' fine」「hamp's blues」が入っているのですが、耳タコのスタンダードに引けを取らない素敵な曲です。