2000年3月31日掲載
World Saxophone Quartet   Revue
Black Saint原盤                   1980年10月録音

 この年WSQは2枚目のスタジオ録音を行いました。A面の4曲全てがジュリアス・ヘンフィルの作曲というのが、クレジットを見る限りの注目点でしょう。さて今日はハミエット・ブルー イットについて簡単に触れます。1940年にブルックリンで生まれた彼は、12歳の時から各種リード楽器に触れてきました。1969年にNYに進出し、1972年からはミンガスのバンドで活躍 し、ミンガスの有名盤「アット・カーネギー・ホール」でその時の熱演に接しられます。さて マレイへの視点からこの盤を見れば、3ヶ月前の自身のオクテットで初披露した“ming”、そしてこの4年後にビッグバンドで演奏した“david's tune”がここで初演されています。

20000331

 ブルース、そしてメロディ。前作でユニットとしての結束が固まったWSQに、この作品で加わった要素がこの2点です。ヘンフィル作の陽気 なブルースであるタイトル曲が、楽しくて良いですね。また同じくヘンフィル作の“slide”で聴 けるメロディの扱い方の格段の向上に、メンバーのこのユニットに対する考え方の変化が伺えます。 マレイの“ming”における優しく雄大なスケールでの演奏が、リーダー作でのそれと違った姿で、たまらなく心に残ります。