1999年9月24日掲載
David Murray & Jack DeJohnette  in our style
DIW原盤          1986年9月録音

 マレイとドラマーのジャック・ディジョネットは、ディジョネット率いる“スペシャル・エディション” において、1979年と1984年の2度レコーディングを行ってきました。1979年以前においても、ディジョ ネットはロフト・シーンとは一定の距離を置きながら活動を行ってきたため、マレイとの競演は無かったと思います。ここにマレイのリーダー・セッションとしては初めての競演が、デュオという形で実現しました。全曲デュオということではなく、A・B面それぞれ冒頭の1曲目にホプキンスのベースが参 加しています。それとデュオの1曲だけ、ディジョネットがピアノを弾いていますね。マレイのデュオ 作は、客演を除けば3作目となり、ドラムと絡むのは初めてですね。着ている服はボロながら、純粋な目を向けている少年二人のジャケット、気になりますね。

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 A・B面の1曲目にベースを入れたトリオでの演奏を入れたのは、アルバム構成の妙ですね。これを聴いた上で、すんなりとデュオ演奏 に聴き入っていけます。さてディジョネットのドラムですが、誰もが考えていたハズの派手なドラミン グは“great peace”1曲だけで、その他では押さえたドラミングに徹しています。これは肩透かしにはならず、マレイとの緊張感を高める効果をもたらしていますね。顕著なのが“both feet on the ground”です。これは1980年のスイスでのソロ公演の際に吹き込まれたことのある曲ですが、単純なリフだけの曲で、ソロ・コンサートのオープニング・パフォーマンスで即興で作られたもののようでした。 ここでは、静かな大地の響きのようなドラムに、駆け回る動物の声のようなマレイのバス・クラがマッ チしています。ディジョネットのピアノに関しては、ピアノ・トリオ作品を2枚出しているだけあって 余技では決してないのですが、ここでは遠慮していただいていた方が、もっと素直にマレイとディジョ ネットの緊張感のある会話を楽しめる作品になってでしょう。