1999年8月9日掲載
David Muray          interboogieology
Black Saint原盤    1978年2月録音

 前月のフランスでのライブ録音のメンバーから、ドラムだけがオリバー・ジョンソンに替わってスタジオで吹き込まれた、クァルテット編成の作品です。デビュー2作目の“low class conspiracy”以来2年振りのスタジオ作であり、全面的なスタジオ作品という意味では、初めてのものです。またブ ラック・セイントというイタリアのレーベルへの初吹き込みで、今後このレーベルから何枚もの作品を発表していくことになります。初めてという意味では、全4曲中2曲に、マリア・コンレラスという女性ボーカリストが参加しています。クァルテット自体は充実しているのですから、この女性歌手の存在が鍵になる作品でしょう。

19990809

 やはりマリアが参加しているタイトル曲が、最大の聴き所です。彼女の歌声はどことなくブリジット・フォンテーヌに似ており、その唱法はシャン ソンの雰囲気を醸し出しております。その彼女にマレイのテナーとモリスのコルネットが、絶妙の間合で溶け合ってます。この感じはこれまでの作品になかったもので、久しぶりのスタジオ作品であることから考えたアイデアなのか、ブラック・セイントのプロデュースによるものなのかは分かりませんが、マレイの新しい可能性を引き出した曲であることは間違いありません。もう一つ聴き所は、この月に行われたフランスでのソロ演奏録音で初披露された“home”です。これはマレイとベースの ジョニー・ダイアニのデュオ演奏で、この年からの二人のコラボレーションが高いレベルに到達していることを、はっきりと認識出来ます。