1999年7月9日掲載
Cassandra Wilson     traveling miles
Blue Note原盤          1998年5月録音

 10年前くらいから活躍している女性ボーカルのカサンドラ・ウィルソンの新譜です。マイルスへのトリビュート・アルバムになっています。現在のジャズ・ボーカル界では今トップ・クラスの評価を受けている彼女ですが、僕は初期の頃の数枚持っているだけです。上手さ・テクニックが前面に出ていて、何か伝わってくるものを感じられなくてね。久しぶりに聴く彼女のアルバム、マイルスゆかりの12曲を、曲毎にバックを替えて吹き込んでいます。

19990709

 しっかり出来たポップス作品ですね。マイルス・トリビュート作品ということを抜きにしても、全体の統一性がしっかり取れていて、計算されつくされた演奏、そしてウィルソンのテクニックが素晴らしいボーカルが聴けます。恐らくマーケティングもそれなりに行なって、彼女のリスナーに成り得る人達の趣向を、アルバム製作に充分に折り込んでいるのでしょうね。で、その対象がジャズ・ファンから離れたところにあったのでしょう。良質なポップス作品です。