1999年6月30日掲載
Joachim Kuhn    easy to read
OWL原盤         1985年6月録音

 ピアノのヨアヒム・キューン、ドラムのダニエル・ユメールはヨーロッパ・ジャズ界の巨匠ですよね。ドラムのジャン・フランソワ・ジェニー・クラークという長い名前の方も、パウエルをはじめ、いろんな有名ミュージュシャンと演奏してきた方だそうです。1970年代には電気ピアノやシンセに力を入れていたキューンですが、1984年にはパリに腰を落ち着け、再びアコースティックでの演奏に力を入れ始めました。このアルバムはそんな時期に、パリで録音されたピアノ・トリオ作品です。ちょうど10年前にこのアルバムを買いました。その時は掴み所が無い演奏だと感じ、ピアノ・トリオに興味が沸いてきた昨年までは、押し入れの奥にしまい込んでたものです。さて、今夜はどのように感じるかな。

19990630

 浪人時代に現代文読解講座なる講義があって、講師から読むようにと薦められた評論書がありました。何冊か読んだ中で、ある著名な方の本は、“だから何を言いたいんだ、あんたは”と何度も叫んでしまいました。評論の主軸から話しはどんどん外れるし、文体は複雑だし比喩が入組んでいて、僕の読解能力を遥かに超えたものでした。これが高度な評論文だとはとても思えない、僕にとっては駄文でした。

 でこのアルバム、駄盤などとは決して申しません。ただ先の評論分のように、入組むはなんやらで、僕の理解力を超えているみたいです。いや、僕の嗜好がこの領域に達していないだけなのかな。昨年ピアノ・トリオが急に好きになったように、いつかはこの演奏が僕の脳を揺さぶる日がくるのを期待しています。タイトル曲のくつろぎが、今の僕の手の届くところですね。