1999年6月28日掲載
Stan Getz and J.J.Johnson at the opera house
Verve原盤   1957年10月録音

 華やかな活動の後に麻薬禍のため暫く一線を退いていた白人テナー の巨匠スタン・ゲッツと、長年続いたカイ・ウィンディングとのトロンボーン・チームを解散したばかりのこれまた巨匠J.J.ジョンソンが、JATPツアーに参加してい た際に吹き込まれたのが本作品です。両巨匠の豪華なジャム・セッションなのですが、このアルバムのデータは何度も訂正されてきました。まずモノラル盤とステレオ盤共にシカゴのオペラ・ハウスでの収録となっていたのですが、片方はLAのシュライン公会堂であるとか、日付の問題も含めて何度も違うことが報告されてきました。まぁ、大雑 把なノーマン・グランツがプロデューサーなので、仕方ないことですかね。今日はモノラル盤の方でじっくり聴いてみます。ピアノにオスカー・ピーターソン、ギターにハーブ・エリス、ベースにレイ・ブラウン、ドラムにコニー・ケイと、バックも大物揃いですよ。

19990628

 ゲッツとジョンソ ンの至極の掛け合いによってテーマが始まる“マイ・ファニー・ヴァレンタイン”。リ チャード・ロジャースの名曲で、数多くのミュージュシャンによって演奏されてきた曲ですが、出だしだけでこれほどスリリングで且つ聴く者の心に染み込む演奏は、他にはないのではないでしょうか。それに続くゲッツとジョンソンのソロも、お互いの音楽史 上でも、最高の部類に入る名演奏を繰り広げてます。8分間続くこの演奏の間、誰しもが、音楽を聴く幸せを感じるはずですよ。“イエスタデイズ”ではジョンソンのソロが、“イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド”ではゲッツのソロが、思う存分楽しめます。JATPというのは、言ってみればジャム・セッションなのですが、これだけ充実した内容になっているのは、超一流の証明ですね。なお、他のメンバーはバッキ ングに徹しています。しかし僕にはギターの音は聞こえなかったけどなぁ。そんなことには一切関係なしに、まさしくこれは名盤ですね。