1999年6月11日掲載
Lucky Thompson      lucky strikes
Prestige原盤            1964年9月録音

 テナー、そして時にはソプラノ・サックスを吹くラッキー・トンプソン、名前は良く知っているのですが、さてその演奏はとなるとあまり記憶がありません。彼は1943年にNYに進出した後、ライオネル・ハンプトンやビリー・エクスタイン、そしてカウント・ベーシーのバ ンドで活動してきました。一時は自身のバンドも持ったりしていたのですが、ほとんどが他のバンドでの活動でした。1957-1962年、1968-1971年の2度、フランスに居を構え活動しており、このアルバムはその間の録音ということになります。マイルスの“ウォーキン”に 参加しているのですが、どーしても彼の演奏が思い出せない。10年振り以上になるのかな、このアルバムを聞くのは。タイトルは有名なタバコからとったもので、ジャケットもそのタバコのデザインを模しています。何か突き刺さるような演奏を期待しますね。ピアノはハン ク・ジョーンズ、ベースにリチャード・デイビス、ドラムにコニー・ケイを迎えてのカルテットでの録音です。

19990611

 1曲目はエリントン作の“in a sentimental mood”で、ソプラノ・サックスでメロディをしっとりと歌い上げています。出だしは飛ばさず期待出来る内容を思わせる配曲かと思ったら、4曲続くトンプソンのオリジナルはイマイチの出来。トンプソンはテナーよりはソプラノの方が良いやなどと考え、ハンクの落ち着いたピアノとデイビスのつぼを押さえた演奏が勿体無いやーなどと、感じていました。6曲目の“i forgot to remember”も彼のオリジナルのバラッドで、そこそこ曲の出来とテ ナーでの演奏でして、上がり3曲に勝負に出ているのかと思ったら、次の曲はブタ。こんな もんかと感じていたら、最後の最後にやってくれました。ベン・ウェブスター作(多分ね、違っていたらゴメン)の“invitation”で彼のテナーは、見事にこのマイナー・バラッドを 力強く歌い上げました。バックも漸くその気になったリーダーを盛り上げるかの演奏。これ 1曲でこのアルバムは存在価値ありですね。これをA面の最初に配せば、ジャケットだけでなく、中身も記憶に残ったものになったでしょうね。