1999年5月23日掲載
Martial Solal       trioⅡ
Swing原盤         1954年10月録音

 今日と明日にかけて、一人のミュージュシャンの初期の作品と最新作を紹介します。北アフリカのアルジェでフランス人の両親のもとで生まれたマーシャル・ソラールは、アルジェリアのクラブでピアニストとしてプロ活動を開始した後、1950年にフランスに活動の場を移しました。このアルバムはそんな時代の26歳と若い彼が、地元の ベース、ドラムと吹き込んだA面と、サラ・ボーンの伴奏者として渡仏していたジョー・ベンジャミンとロイ・ヘインズと吹き込んだB面で構成されているピアノトリオアルバムです。今日は若き日の彼の演奏を聞いてみます。

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 去年から何故かピアノトリオを集中して聞くようになり、ヨーロッパ系の演奏も多々耳にしてきました。まだまだヨーロッパ系の特徴 はなぞとは表現出来ないのですが、テーマの解釈とアドリブを展開する上で陰影と深みを出している点も特徴の一つだと感じてます。さてこのマーシャル・ソラールの若き日の1枚は今年初頭に購入したものなのですが、この時代のピアノはヨーロッパでもパウエルの影響が強く出ていますね。彼のピアノは“瞳は君故に”での演奏に代表されるように、高音をコロコロ転がしてパーカッシブに弾くのが特徴的ですね。唯一のスローナンバーの “ダーン・ザット・ドリーム”では自分のイマジネーションを表現する技法が見つからず、もがいている様子が感じられます。しかし他は全てアップ及びミディアム・テンポの曲で彼のテンポの良さが存分に発揮されていて、安心して聞ける好ピアノトリオ・アルバムに仕上がってます。