1999年3月24日掲載
Booker Little       out front
Candid原盤        1961年3月録音

 1958年に20歳の時にマックス・ローチに見出され、クリフォード・ブラウン亡き後のジャズのトランペットの中に現れたのが、このブッカー・リトルです。彼の2作目のリーダーアルバムであり名盤をタイムに吹き込んだ1年後に吹き込まれたのが、このアルバムです。エリック・ドルフィー、マックス・ローチ等と吹き込まれてますが、独特の実験的なホーン3本によるアンサンブルに馴染めず、あまり聞いてませんでした。この年の8月 にドルフィーとファイブ・スポットで伝説的なセッションを行なった彼の、直前の心境を聞ければと思います。

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 音楽に限らず芸術において“実験的な試み”と言う表現は良く使われます。ジャズの歴史においてその変革の時の代表アルバム、例え ばハードバップ誕生期におけるアート・ブレーキーのバードランドの夜は、その当時は“実験的な試み”という表現がされていたと思います。しかし時が過ぎ、それが評価されてくると“実験的な試み”から“名盤”に呼ばれ方が変わって来るものです。このアルバム録音当事は他でも今までには無いホーンのアンサンブル重視の録音がありますが、ほとんどが今でも“実験的な”と言う表現で語られてます。勿論そのような録音が無意味という事では全く無く、この時の模索がやがて素晴らしい成果に結びついていってます。この録音もこの年の夏の“ファイブ・スポット”での奇跡的なセッションに向けての、ブッカー・リトルとエリック・ドルフィーの、一つの試みと考えられます。