Bud Powell
Earl Bud Powell Vol.4  (Relaxin' at Home 61-64)

録音日 1964年1月1日(年はジャケ記載データ、月日は決め打ち)

イス ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 フランシス・ポードラのパリの部屋でくつろぐパウエル、ジャケにあるこの写真は二人の友情の絶妙な瞬間を切り取ったものです。本作は全てパリのフランシスの部屋で録音されたものでありますが、その場所は二つあり、その時期は4回に分かれています。1961年と1962年の録音は、パリの17区にあるrue boursaultという所、1963年と1964年は9区にあるrue de clichyという所です。両方とも高さと色、そしてデザインが統一された街並みで、これぞパリという建物です。

 2003年6月4日に「今日の1枚」で本作を取り上げた際には、そのリラックスした演奏に絶賛の感想を私は書きました。特に「In The Stage Door Canteen」と「Darn That Dream」の演奏に感心していました。

 ジャケに写るイスは、フランシスのことですから高級品なのでしょう。イス資料に載っていると思い調べましたが、僅かに異なるイスはあれど、このイスには辿り着きませんでした。

 今回のつまみ食いでは、先の2曲以外のリラックスしたパウエルの演奏を探したいと思います。

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つまみ食い後

 リラックスした演奏との書き方は、良くないですね。リラックスした状態での演奏だからこそ、パウエルさんの張り詰めた一音一音がさらに冴え、そして聴くものに届くメロディの清福が豊かになって行くのです。そして本盤にはそんな演奏が多くあります。

 その中で、フランシスの部屋のリラックス感に合わせてのリラックスした演奏が、「Christmas Song」です。メル・トーメが書いたこの穏やかなこの曲を、パウエルは本当に穏やかにピアノを奏でています。そして歌っています。部屋中が笑顔に包まれている光景が目に浮かんできます。

 これは1961年の演奏です。この時のフランシスの家は、パリ17区にありました。今のそこには、1階にカフェやブティックがありますが、静かな裏町の面影です。当時も同じようだったのかと、演奏を聴きながら感じました。


(掲示板掲載 2019年7月24日から3日間)


参考資料「Brutus Casa特別編集 超・椅子大全!」東京:株式会社マガジンハウス発行、2005年(文中ではイス資料と表記)