Tete Montoliu
Piano For Nuria

録音日 1968年2月2日(ジャケ記載データ)

マイク ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 ジャケ写は、グランドピアノの後方からピアノを弾いているテテさんにピントを合わせているので、ピアノ用マイクはぼけております。しかしながらその形状から、恐らくはノイマンU67だと思います。

 さてピアノへのマイクのセッティング方法ですが、ネットで見る限り、最低2本、3本は必要とのことです。しかしジャケ写には1本しか写っていません。これはフィリンゲンにあるSABAのトン・スタジオでの録音手法なのでしょうか。

 さて本作を「今日の1枚」で取り上げたのは、2004年6月22日のことでした。その際には、ソロで演奏された「I surrender, dear」について、「ピアノの特徴と機能を最大限に活かした演奏で、女性を思う切なさが、痛いほど伝わってくる快演」と私は感想を述べました。しかしながら多くは演奏から外れた記述に終始していました。今日は真面目に聴いて見ます。

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つまみ食い後

 ピアノの音の輝きに陶酔しました。ピアノという楽器の姿が目の前に浮かんできました。強いタッチのテテさんの演奏が、ノイマンU67で根こそぎ収録されています。この辺りは録音技術に定評のあるMPSであります。ジャズの録音技師といえばヴァン・ゲルということになり、私も彼のホーンの録音の巧さに、多くのジャズファン同様に惚れております。しかしピアノとなると、ヴァン・ゲルの録音に釈然としないところがあったのですが、このMPSの録音を聴けばその差を痛感します。

 この時期のテテさんに世間の注目が集まっており、この録音に相当な心組があったのでしょう。最初のテテさん作のタイトル曲では、世間に一発かましてやるぞとの、強い思いが伝わってくる演奏です。この気持ちが伝わってのベースとドラムの好演もあり、さらにピアノの録音の良さが加わり、昇竜の勢いの演奏に聞き惚れました。


(掲示板掲載 2019年3月15日から3日間)


参考資料「Sound Designer 2018年6月号 マイク読本」有限会社サウンド・デザイナー発行(文中ではマイク資料と表記)