Wynton Marsalis
Black Codes(from the underground)

録音日 1985年1月11日(ジャケ記載データ)

イス ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 誰もがお世話になった椅子、そして多くの人が遠い記憶となった椅子、そんな椅子が学校の椅子です。私も小学校時代の木製の四角デザインの椅子、そして高校時代のパイプを使い丸みが少しはある椅子は何とか思い出せますが、中学時代の椅子はどんなものだったかは思い出せません。遠い記憶ですからね。

 本作ジャケの少年は大人になったら椅子のことは忘れるでしょうけれど、この板書は決して忘れないものでしょう。黒人にとって深い歴史の出来事と、今につながること、そんなことが1985年の学校の教室の黒板にあるのです。

 2004年7月3日に本作を取り上げた際には、「音が詰め込んである演奏だが、その焦点が定まっていない」と私は書きましたが、これはウィントンについて発売当時によく言われていたことです。今回のつまみ食いでは、しっかりと自分の言葉で本作について書きたいと思います。

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つまみ食い後

 SJ誌が新伝承派と名付けて、多くの読者がその名称に違和感を覚えた1980年代中盤のジャズ界の若手の台頭から、早くも30年が過ぎました。当時のイキの良い若手もとうにベテランとなり、今の若手からすれば昔の人達になっているのでしょう。

 そうこう考えながら本作に接しますと、ウィントンをはじめとする当時の若手たちの真摯なジャズに向き合う姿勢を感じます。ブルースをウィントンならでの方法で姿を変えさせたメロディ、ゆったりと流れながら主張のあるリズム、これをまとめ上げていくアレンジ、こんなことを楽しめた今回のつまみ食いでした。


(掲示板掲載 2019年11月24日から3日間)


参考資料「Brutus Casa特別編集 超・椅子大全!」東京:株式会社マガジンハウス発行、2005年(文中ではイス資料と表記)