Enrico Rava - Stefano Bollani
The Third Man

録音日 2006年11月1日(年月はジャケ情報、日は決め打ち

イス ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 今まで2358枚のジャズ作品を取り上げてきた「今日の1枚」の中で、ピアニストがリーダーの作品は701枚あり、比率は29.7%であります。また歌手と分類した中にピアノ弾き語りの人もおり、それを加味すれば、ピアノ奏者比率はほぼ30%とも言えるでしょう。

 今回の「つまみ食い」は「イス ジャケ」であります。「今日の1枚」では30%の作品がピアノ弾きなので、ピアノを演奏している姿をジャケットにしたものが多くなります。そのジャケットには、ピアノ椅子が映ることになります。

 イス資料では、ピアノ椅子に触れていません。ネットで調べますと、ピアノ椅子には二つの分類があり、背もたれ無しと有りの2種類です。私は背もたれ無しのピアノ椅子の種類を知りたかったのですが、それに触れているページは見当たりませんでした。

 スイスのコンサート・ホールの舞台でラヴァさんとボラーニさんが向かい合っているモノクロ・ジャケットには、ピアノ椅子が写っています。私がイメージする典型的なピアノ椅子に、ボラーニさんは低めに椅子を調整して座っています。

 2009年5月31日に本作品を「今日の1枚」で取り上げた際には、演奏の美しさを伝えながら、「私の好みとは違ったところに需要がある作品」と感想を述べておりました。好みの枝葉の部分は、その時々で移ろうもの。今回の「つまみ食い」ではどのような感想になるのでしょうか。

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つまみ食い後

 豊かな響きのホールでの、残響多めとも感じましたが、それを上手く活かしてのレコーディングです。それが二人の美しい響きあいを鮮麗にしています。注意深く聴けば色んなタイプの曲を演奏しています。二人のオリジナル曲が中心ですが、カルロス・ジョビンの2曲も含まれています。それらが同じ着彩で演奏されていますが、一方で時に見せる二人の切り込みにハッとさせられる場面があります。

 私の日常での中には存在し難い作品ですが、時に光った存在になる作品であります。


(掲示板掲載 2019年4月12日から3日間)