Brad Mehldau
places

録音日 2000年1月24日(ジャケ記載データ)

イス ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 「ここのチリはね」とのセリフを、刑事コロンボで何度も聞きました。ここでいうチリとはチリコンカーンという料理で、ウィキペディアによれば「代表的なテクス・メクス料理およびアメリカ料理で、アメリカ合衆国の国民食のひとつでもある」であり、作り方は「挽肉とタマネギを炒め、そこにトマト、チリパウダー、水煮したインゲンマメ(金時豆、赤いんげん豆やピントビーンズなど)などを加えて煮込んだもの」とのことです。

 私はコロンボに限らず、アメリカ映画でよく出てくる街中の軽食屋さんの雰囲気が好きです。

 いきなり脱線しましたが、このメルドーさんのジャケは街中の軽食屋さんなのでしょうけれど、刑事コロンボで見ていたお店よりかは、高級感があります。このイスの皮の感触も、結構リラックスできそうで、私の軽食屋の印象からは少しズレるものです。しかしコーヒーカップにソーサーがないので、いわゆる軽食屋さんの部類なのでしょう。

 2001年1月14日に「今日の1枚」で本作を取り上げた際には、「気付くと、メルドーのリリシズムに引きずり込まれている自分に気付いてしまう」との感想を私は書きました。早速、つまみ食いしてみます。

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つまみ食い後

 アルバム名は「places」、そして各曲に場所の名称が付いています。全13曲の中に、「Los Angels」との曲が3つ登場します。

 人からは順調な時期と思われても、本人にとってはその分だけ悩みの深さにもがいているもの、こんな題材での小説や映画によくお目にかかります。メルドーさんにとってのこの時期のLAという土地は、そんな悩みの深さに何とか耐えている場所だったのかと感じる、3曲での演奏です。

 ジャケでのメルドーさんは、軽食屋さんの定番の卵料理を食べ終えたところなのでしょう。演奏を通しての彼の思いが伝わってくる、少し豪華な軽食屋さんの光景のジャケが、印象に残ります。


(掲示板掲載 2019年11月18日から3日間)


参考資料「Brutus Casa特別編集 超・椅子大全!」東京:株式会社マガジンハウス発行、2005年(文中ではイス資料と表記)