Monica Zetterlund
Spring Is Here

録音日 1958年6月11日(ジャケ記載データ)

マイク ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 立錐の余地もない観客の前に立つモニカさんの歌声を狙っているマイクは、独特の形状のものです。マイク資料を見ますと、大きさ的にはノイマンTLM102、シュアBeta56、或いはAKG D12VRかなと思いますが、ジャケに映るものとは違います。

 本作はセレクト盤なのでいくつかのセッションが収録されています。17曲中15曲については、ソロ奏者がクレジットされています。Arne Domnerus(as)が5曲、Ake Persson(tb)が2曲、Arnold Johansson(tp)が1曲、Rune Falk(bs)が1曲、Benny Bailey(tp)が2曲、Donald Byrd(tp)が2曲、Rolf Larsson(p)が1曲、Bjarne Nerem(ts)が1曲、そしてLars Gullin(bs)が2曲です。

 2005年5月2日に「今日の1枚」で取り上げた際には、気に入ったモニカさんとソロ奏者について触れましたが、今回はどの演奏に関心を持つか楽しみです。

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つまみ食い後

 二十歳を過ぎて母国で人気者になっていた時期の、歌手に自信を持ち始めたモニカさんの喜びが「I'll Take Romance」に現れています。この曲でのソロ奏者はトロンボーンのオキ・ペルソンです。彼はモニカさんより5歳ほど年上であり、この時期にはスウェーデンのジャズ界で評価を得ている奏者だったようです。自信を持っていた二人、そして希望にも満ちていただろう二人の、弾むような演奏がこの曲で楽しめました。

 この後のモニカさんは欧州ジャズ界の人気者となっていきます。


(掲示板掲載 2019年8月24日から3日間)


参考資料「Sound Designer 2018年6月号 マイク読本」有限会社サウンド・デザイナー発行(文中ではマイク資料と表記)