Mark Whitfield
True Blue

録音日 1994年6月8日(ジャケ記載データ)

マイク ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 このマイクは、マイク資料P13にあるRCA 44BXでしょう。とすればこれはリボンマイクであり、マイク資料では「アルミ箔を折ったリボンで空気の振動を捉えるマイク。非常にデリケートな構造をしている」「中域の質感が強いというか、いい意味で上と下の帯域が少ない」「独特の質感があって、マイク自体の世界観を強く出せる」とその特徴を述べています。

 ジャケットを見て不思議なのは、楽器がフルアコであることです。しかしフルアコースティックギターと、名前にアコースティックが入っていてもエレキギターです。録音に当たっては、ギターアンプにダイナミックマイクを良い角度でセットするわけで、なぜにギター本体の前にマイクをセットするのでしょうか。

 このように私を混乱させたジャケットの演奏者はマーク・ホイットフィールドさんで、今でも人気ギタリストのお方です。2008年10月4日に「今日の1枚」に本作を掲載した際には、「ピアノ・トリオをバックにした、リラックスしたブルース演奏」としながらも、「僕の中に彼の個性が強く残っていない」とも感想を述べました。

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つまみ食い後

 RCA 44BXはギターアンプからの音の他に、ボディからの音を合わせて録音したいからなのだと素人思いながら本作を聴いていると、温かいサウンドでゆったりとブルースを聴かせるマークの演奏に、包まれているような気分になります。実に暗示にかかり易い自分なのだと考えながら、しっかりと個性のあるギター奏者だと、10年前の感想を改める自分がいました。


(掲示板掲載 2018年12月24日から3日間)

参考資料「Sound Designer 2018年6月号 マイク読本」有限会社サウンド・デザイナー発行(文中ではマイク資料と表記)