Linda Ronstadt
For Sentimental Reasons

録音日 1985年7月10日(ジャケ記載データ)

マイク ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 リンダ・ロンシュタットのジャズ3部作は、未だに結構な人気です。ネット上のSNSでも、よくこの3作に触れたこのを目にします。

 その3作目であるこの作品のジャケには、シュアSM58、通称ゴッパチに気持ちを込めた表情のリンダさんが写っています。ネルソン・リドルがいなければ、さらに素晴らしいジャケになったでしょうが、それは禁句でしょう。

 2014年にロックの殿堂入りを果たしたリンダさんですが、病気のため1990年代後半からは一線を退いています。

 2004年9月18日に本作を「今日の1枚」で取り上げた際には、「星に願いを」に絡めてコメントしました。今回のつまみ食いではどの曲に私の心が動くか、楽しみです。

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つまみ食い後

 可愛らしさを持ちながらも年齢なりの感情表現を身につけ、それに歌唱力の高さが土台にあるのですから、多くの人から支持されっるのは当然のことなのでしょう。

 「I Love You For Sentimental Reasons」という曲があります。1940年代にナット・キング・コールとダイナ・ショアがヒットさせた、恋心のバラッドです。「I love you for sentimental reasons,  I hope you do believe me, I'll give you my heart」との場面のリンダさんは、まさに彼女の特徴がはっきりと感じられるものです。またバド・シャンクのアルトもリンダさんに寄り添うに、輝きある演奏になっています。

 本盤は1985年7月から録音を始め、終わったのは1986年5月のことのようです。その間の1985年10月6日に、ネルソン・リドルが64歳で他界しました。リドルはピアノやトロンボーンを経験したのちに、独学でアレンジを身につけました。その後は陸軍バンドも経ながいくつものバンドで活動し、シナトラなどの大物のアンレンジを行うようになった方とのことです。

 その最後の大仕事がリンダさんのジャズ三部作でした。最後の本作では11曲中3曲が他の人の指揮による録音です。しかしその3曲も、リドルの思いを継承しての演奏になっています。「I Love You For Sentimental Reasons」での恋心の揺れ動きを表現している演奏が、がそれを証明しています。


(掲示板掲載 2019年8月18日から3日間)


参考資料「Sound Designer 2018年6月号 マイク読本」有限会社サウンド・デザイナー発行(文中ではマイク資料と表記)