Jimmy Smith
Keep On Comin’

録音日 1983年9月3日(ジャケ記載データ)

マイク ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 ジャズクラブでジミー・スミスの演奏に接したことがありますが、用意されたMC用マイクをよく使うお方、つまりよく喋るお方でした。そして流石なのは、ほぼ全て日本人の観客を英語で楽しませることでした。ショーマンシップありの上に、スミスさんは頭の良い方なのでしょうかね。

 そう言えば横濱ジャズプロムナードで何度も接したKANKAWAさんも、ステージでよく喋る方でした。こちらの場合は酔った勢いなのかもしれませんが、楽しい内容でした。

 今回つまみ食いするスミスさんの作品のジャケットには、バレルとグリフィンとの演奏を決めたぞ!とのような笑顔で、シュアSM58らしきマイクを持っているスミスさんがいます。2016年4月9日に「今日の1枚」で本作を取り上げた際に私は、「この作品を愛聴盤としている人は、いないでしょう。この作品が世の中になくとも、誰も困らないでしょう。そんな作品ですが、聴けば聴いたで、全てのジャズ・ファンが楽しくてしょうがない気分にさせる作品です」と書きました。今回のつまみ食いでも、そんな楽しさを感じたいと思います。

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つまみ食い後

 オルガンの音色に粘り気がないのですが、これは本盤の録音の特徴であり、そこでのスミスさんのスタイルが変わった訳ではありません。BNの稼ぎ頭だった時代のブルージーは耳に馴染み易いものとなり、陽気さは倍増していますが、スミスさんはスミスで健在です。このライブから17年後に79歳で亡くなったスミスさんですが、その演奏の元気さは最後まで健在だったようです。

 こう書いてきて、京子ママのことを思い出しました。私は残念ながらお目にかかったことはないのですが、六本木でジャズクラブ Body & Soulを半世紀近く経営されている関京子さんです。京子ママが雑誌のインタビューで、「出演しに来た外国のミュージシャンはすぐに私を口説きにかかる中で、本当に紳士だったのはジミー・スミスさん」とのようなことを述べていました。そして青山のブルーノートに出演中のスミスさんが足の具合が悪いと聞くと、京子ママは楽屋でスミスさんの足をマッサージしていたとのことです。

 話が外れたついでに、寒川さんのお話。先週の栄公会堂でのライブで、引退とのことです。数年前から体調が思わしくなく、活動を控えていたとのことです。私が寒川さんの最後のステージに接したのは、2017年の横濱ジャズプロムナードとなります。

 いろんなことが頭をよぎりながら、今回のつまみ食いを終えました。


(掲示板掲載 2020年1月21日から3日間)


参考資料「Sound Designer 2018年6月号 マイク読本」有限会社サウンド・デザイナー発行(文中ではマイク資料と表記)