Stan Getz In Stockholm

録音日 1955年12月16日(ジャケ記載データ)

楽器ケース ジャケ作品をつまみ食い

つまみ食い前

 「飛行機のゲッツ」という俗称で呼ばれているのかは別にして、「飛行機ジャケ」の筆頭格の作品です。しかし今回は「楽器ケース ジャケ」、タラップでのゲッツさんは見送り人に対して右手を降りながら、左手でコートとサックス・ケースを持っています。使い込んでいるような革製ソフトケースにもゲッツさんの貫禄を感じます。

 飛行機はScandinavian Airline System、北欧3国の共同出資の会社で、再編続きの航空業界の中にあって再編する側の航空会社であり、今も全世界を飛び回っています。そんな飛行機に乗り込むゲッツさんは、ストックホルムでの仕事が終わり、次の演奏先に向かったことでしょう。

 この作品を「今日の1枚」で取り上げたのは、2000年6月21日のことでした。「テーマを優しく吹き、そのままイマジネーション溢れるアドリブへ続くのだが、そこの境目を感じさせないっていうのが、僕の中でのゲッツの魅力です」と、述べました。今思い返すとこの時期の私は、ジャズを聴き始めて15年以上経ってからゲッツさんの魅力が分かり始めた時でした。

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つまみ食い後

 私は海外駐在13年でしたので、国際線に関しては利用している方だと思います、特に最後の4年間は毎月のように空港3箇所にお世話になっておりまして、空港と機内が生活の一部でした。もう5年前となるそんな光景を思い浮かべているのですが、機内預けではなく手荷物として楽器を持っていた方を見かけた記憶がありません。ヴァイオリンを持っている学生さんらしき人を見たかも程度のものです。やはりこれは東南アジアでの駐在だからで、欧米への駐在だったならば、話が違ってきたのかもしれません。

 そんなことを思い浮かべながら、大人の優しい雰囲気が漂う本作を聴いておりました。このゲッツさんの歌心ならば、私が良く利用していた夜行便の機内で、心地よい眠りに入ったことでしょう。でも、朝の目覚めに相応しい演奏もあればなと思いながら、本作を聴き終えました。

(掲示板掲載 2018年10月18日から3日間)