19600610-05

But Not for Me
(George Gershwin / Ira Gershwin)
(17分32秒)



【この曲、この演奏】

 これはガーシュイン兄弟の名曲で多くのジャズマンに愛されている曲であり、コルトレーンの演奏は1960年10月のアトランティックでのレコーディングが有名なものです。しかしライブとなると、資料07では、10月のレコーディングの予行練習のような5月から7月にかけてのジャズ・ギャラリーでのものだけです。

 さて演奏ですが、コルトレーンがテナーで10分強、マッコイで5分強、そして再びコルトレーンで2分ほどの演奏となっています。

 全体としてはこの後に発展を続けていくコルトレーン・カルテットと比較すれば、ぎこちなくしっくりきていないカルテット演奏といえるのでしょう。これはスティーヴ・デイヴィスやピート・ラロカの技量云々ではなく、あくまで ”この時の” コルトレーンとの相性と言うべきでしょう。

 その中でこの曲でのサックス演奏の可能性を追い求めるコルトレーン、まだまだ真宵の演奏であるマッコイ、そんな演奏内容でした。



【エピソード、ダウンビート誌1958年10月16日号 その1】

 一九五八年ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル評の中で ”行かれる若きテナー” と呼ばれたことについて尋ねると、コルトレーンはこう答えた。「あれが怒りだと思われたなら、それは誤りだ。私が怒るのは、思うようなプレイができないときの自分自身に対してだけだからね」

 ノース・キャロライナ州ハムレット生まれ、三二歳の彼は、それなりに人生の憂鬱を味わってきたが、それらはすべて混乱と苛立ちに満ちた過去に帰すると感じているようだ。彼の成長における正念場は、一九五一年、ディジー・ガレスピーのバンドへの加入直後に訪れた。


ダウンビート誌、一九五八年十月十六日号、16-17ページより(資料04)



【ついでにフォト】

tp12008-045

2012年 ペナン、マレーシア 


(2023年3月28日掲載)