19560511-08

The Surrey With The Fringe On Top
(Rodgers - Hammerstein) 
(9分5秒)


【この曲、この演奏】

 資料14によれば、ロジャース&ハートのコンビがハートの死により終わり、ロジャース&ハマースタインのコンビでのブロードウェイ第1作は1943年の「オクラホマ」で、2212回というロングランを記録しました。この「飾りのついた四輪馬車」という邦題でおなじみの曲はその「オクラホマ」中での曲です。ジャズ・ファンにとっては、ロリンズやウィントン・ケリーなどの演奏でも、お馴染みの曲です。

 資料06,08によればマイルスもコルトレーンも、この曲の演奏記録は本セッションだけであります。

 この前の曲はピアノ・トリオでの演奏でした。
 そして本曲では、カウボーイと農家の娘との恋の三角関係を明るく陽気に描いたミュージカル(ウィキペディア)というストーリーを表した演奏が聴けます。ミディアム・テンポでのマイルスのミュート・トランペットは芸術の域にあり、コルトレーンのテナーは陽気に踊る絵が浮かんでくる演奏です。またリズム陣も熱演であり、このセッションのコルトレーン入りでは白眉と言える内容です。


【エピソード、少年時代に関心を寄せたもの】

 資料01によれば、少年コルトレーンは映画も好きだったようである。元はブラウアーが映画好きであったのだが、当時は黒人少年一人が同伴なしで映画館に入ることは習慣上許されなかったため、コルトレーンを誘ったとのことである。ハイポイントにはブロードハースト劇場とパラマウント劇場があった。パラマウント劇場は人種差別が行われていて、天井桟敷が黒人専用であった。それは45度の傾斜があり、ブラウアーによればスリル満点だったとのことだ。

 だが二人がもっぱら行ったのは、ブロードハースト劇場の方であった。チューイング・ガムも噛みポップ・コーンをほうばり、二人は映画に熱中していたとのことである。


【ついでにフォト】

19550511-08

2005年、香港

(2019年1月30日掲載)